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令和2年9月13日(日)日本臨床歯科学会福岡支部第一回Webセミナー
令和2年9月13日(日)に令和2年度日本臨床歯科学会福岡支部総会ならびに令和2年度第1回日本臨床歯科学会福岡支部学術大会が福岡支部初のWeb開催で行われた。コロナウイルス感染症の拡大の中、当支部における本年度の事業も中止を余儀なくされてきたが、会員の研鑽の場を少しでも提供しようという西支部長の考えのもと、本部からのウェビナー利用においてのサポートもあり、当日60名の参加のもと、盛況に開催された。
西支部長の開会挨拶の後、野村専務理事を議長選任し、総会を執り行った。総会後にまず3名の会員発表(座長:中島圭治先生)を行った。最初に岡野圭造先生が「臼歯部を失った患者にインプラントを用いて咬合再構成を行った1症例」と題して、咬合崩壊の一途をたどる患者の補綴的再介入が必要な症例に対して、前医が父親であるという難しい状況の中、欠損の拡大防止と咬合高径の回復に苦慮された経過を発表された。
次に沖田順先生が「咬合高径の変更を伴う咬合再構成の1例~Treatment beforeFailing Dentition~」と題して、臼歯部欠損放置により咬合高径が低下したと思われる症例に対して、インプラント治療と補綴治療により、バーティカルストップの確立と咬合平面の是正に取り組んだ経過を発表された。最後に古波蔵翔先生が「下顎臼歯部欠損から生じたと考えられる歯体移動とWear propertyに対する咬合再構成」と題して、臼歯部欠損放置とそれに伴う前歯部咬耗を起因とする審美障害に対し、綿密な分析のもと、インプラント治療と矯正治療を併用した包括治療を行った経過を発表された。各会員発表の最後に、今回の招待講師である東京都中央区ご開業の中村茂人先生にコメントをいただいたが、咬合高径の低下を疑わせる症例に対し、垂直的な診断はしっかり行っているものの、水平的な診断が不足していることが多いとのご指摘があり、発表者のみならず、参加した我々にとっても非常に有益なアドバイスであったように思う。
後半の教育講演(座長:名取徹先生)は、「EBMとNBMを考慮した臨床」と題し、中村先生にご講演いただいた。前半は重度歯周病患者に対して、患者の歯を残したいという想いに寄り添った、まさにNBMを考慮した治療経過を呈示された。後半は、咬合に起因すると思われる様々な症状を訴える患者の治療について、どのように顎位のずれが起こっていくのか?またそれに対してどのように診査・診断し、対応していくのか?をシェーマを用いて非常にわかりやすく、解説いただいた。他院での治療後に発症した症状をリカバリーしたケースも多く、安易な補綴介入や矯正治療についてのリスクを、参加者の多くが再認識できたのではないだろうか?
今回、福岡支部初の試みとしてWeb例会という形式で行われたが、通信トラブル等もなく無事終えることができ、安堵した。しかしながら、前日の懇親会から膝を突き合わせて丸1日、楽しく学べる日常に戻って欲しいとより強く感じたのも事実である。
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